2005年、経済の国際化に対応するため、商法の一部を分離し会社関連の法律を再編して成立した会社法。15年施行の改正法の付則で、2年後に企業統治の在り方を検討するとしていましたが。この間、法制審が見直しを進めてきました。法務省は通常国会で改正法案を提出する予定だといいます。
法務省の法制審議会の部会がまとめたところによると、上場企業などの大会社に社外取締役の設置を義務付けること。また、役員報酬の決め方の情報開示拡充など。法改正には企業統治を強め、経営の透明性を高める狙いが見えます。
そんな中、見直しの目玉は社外取締役設置の義務化でしょう。外部から招く社外取締役は、社内のしがらみにとらわれずに第三者の視点から企業経営に関われますので。国内外の投資家の経営陣に対する信頼を確保するには義務化が必要、と判断したことは妥当でしょう。義務化は以前から議論されていましたが、経済界の反発が強く見送られた経緯があります。しかし、昨年7月時点で東京証券取引所の全上場会社の97・7%が社外取締役を採用しているのに加え、国際化が進む株式市場を考えれば導入は避けて通れないと判断されたようです。
役員報酬についても、取締役会が基本的な考え方を決定し、開示するよう義務付けられ、報酬をどう決めているかという過程がより透明化され、株主が妥当性を判断できるようになります。その他、株主総会や総会資料の在り方なども見直され、株主提案の乱用を防ぐため、1人の株主が提出できる議案を10本までに制限されます。ただ一方で、企業や投資家の利益につながる提案まで規制されないように配慮が必要だと考えます。
「会社は公器」という言葉がありますが、コンプライアンスが強く叫ばれる時代。会社法は時代に即し、ますます公共性と公明性が求めらる法律に進化しているようです。
コメント