この季節になると、地元の健康推進委員会で御一緒だったSさんを思い出します。胃がんで亡くなったSさんは、とても温厚な方で竹町に移り住んで10年程しか経っていないのに町会の世話役のような風情でした。奥様の話によれば、祭り好きのSさんは引っ越して来た翌日に町会長の電話番号を自分で調べ、「町会にある祭りの会(睦)に入会したい」と懇願したそうです。それから10年、町会の人にも愛され、健康推進委員などのボランティアもして、下町に溶け込んだわけで。Sさんの柔和な笑顔と、物腰の柔かさの成せる業と感心しきりです。たぶん、政治に関してSさんは決まって支持する政党があったように思いますが、いつも私に優しく声をかけ、何度も「迷わずに今まで通りにやりなよ、応援してるから」と言ってくれました。この「迷わずに今まで通りにやりなよ」という前段が、どれだけ私を励ましてくれたか。正直、この数年間、個人的に辛いことも多々あったので、本当に心に染み込む有難い言葉でした。感謝の気持ちを伝えても、伝えきれない程、Sさんの存在は私の日々の支えでした。新春になると、Sさんと一緒に歩いた隅田川沿いの景色を思い出します。今はゆっくり、天国で身体を休めて。そして、いつの日か、また会える日を。
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昨年、新たにがんと診断される人が全国で100万人を超えたそうです。がんは日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が亡くなる死因第1位の国民病だと。がん対策基本法が2007年に施行されて11年が過ぎました。この間、治療技術は進歩し、治療後の生存率は高まっているのですが、死亡率を減少させる数値目標は達成できないのが現状だといいます。
そして、厚生労働省は基本法に基づき昨年、今後6年間の国の取り組みを定める「第3期がん対策推進基本計画案」を公表しました。これまでの計画と結果を踏まえ、より効果的な対策が求められます。
07年の第1期の計画は、拠点病院の整備や痛みを和らげる緩和ケアなどを掲げ、12年の2期計画は小児がん対策の充実なども取り入れました。ただ、1、2期を通じ、75歳未満のがん死亡率を10年間で20%減らす目標は達成できませんでした。3期計画は、早期発見に向け検診の受診率を50%、疑いがあった場合の精密検査受診率を90%に高める目標ですが。検診受診率は胃、肺、大腸、乳、子宮頸の各がんでは40%前後。精密検査を受ける人も65~85%にとどまります。検診を受けやすい環境を整えることが第一ですが、自治体間で受診率を比較する仕組みが未整備で、職場を通じた検診の実態把握も不十分だといいます。我が台東区でも、さらに組織的に受診率を向上させるような仕組みづくりを求めていきたいと考えます。
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