新聞などを読めば、政治の世界は複雑で流れもはやいですが。地方議員の目から見ると、その不安定な流れの底流には一定の思いがあるような気がします。
ある意味、夏にお手伝いした沖縄知事選挙は”最近の選挙の争点”を明確に提示していて、沖縄県民に対して『経済保守』と『社会保守』のどちらを選択するのかを突き付けている選挙だと思いました。基地をめぐる「知事と総理」の対立だって、結局はここが論点なのです。沖縄で話す業界人(政治関係者)も、そこを強調していました。
基地があることによって沖縄経済が潤っているという幻想から県民一人一人が徐々に覚めていき、戦後ずっとアメリカによって間接的に軍政支配されていたことによって失われていた琉球古来の沖縄アニミズム(自然信仰)文化への回帰を求める人々が潜在的に増えている感もあるのです。つまりは、南国・沖縄独特の「ニライカナイ」というような楽土信仰や、守り神シーサーに表れているような沖縄の自然を守りながら、独自の文化の中で生活していくという文化への回帰。
実は、このような「非経済的な生活信仰」というものは、すでに広く日本人の心の中に芽生えているようで。新自由主義経済による「競争の激しい社会」や「収入・身分格差のある社会」への嫌悪感は、特に30代以下の日本人の社会意識の中で相当に育まれていることが各種生活アンケートなどで理解できます。
まだ、鈍感な政治家(国会&地方)の多くは、この社会意識に殆ど気づいておらず、相変わらずの「政治選択」で有権者の心をつかめると誤解しているようですが。日本人に昔からあった「農耕民族的な和を貴ぶ村社会」への深層心理での回帰は、新しい価値観による「狩猟民族的な自由主義経済」への信仰を駆逐する程に高まってきたと実感するのです。たぶん、次の総選挙などで判然と顕在化してくるものと思われます。
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